無学ながらの美術館詣で、本日は静岡県下田市の「上原美術館」に行ってきましたの備忘です。
施設概要
施設は近代絵画を集めた「近代館」と、仏像や古写経などを中心とした「仏教館」の二つの建物に分かれています。
元々は別の施設だった物が、2017年に合併されたのだとか。
一度に色々見られて、なんだかお得な感じ。
収蔵品は主に大正製薬名誉会長の上原正吉・小枝夫妻が集めた仏教美術品、
次男(同じく大正製薬名誉会長)の上原昭二氏による近代絵画から成ります。
特別展示(近代館)
この日の特別展示のテーマは「船と絵画」。
船と港の風景を中心に、人々の生活や旅への憧れが多数の作品に描かれています。
画家さん自身も船や船旅に魅せられていた人が多く、
作品に表現された景色の、その背景にある情熱も伝わってくるようです。
シニャックは自身も30隻以上の船を保有する程の船好き。
マルケは船旅先のアフリカで運命の人と出会います。
水面に輝く光、ゆらゆらと揺れる船体と行き交う人々。
新印象派の独特なタッチで描かれる、けぶるような色使いがそれぞれに本当に素敵。
もちろん作品の写真撮影は禁止なのですが、
公式に動画がありましたので拝借。
丁寧な解説と共に、展覧会の雰囲気味わってみて下さい!
特別展示(仏教館)
仏教館の特別展示のテーマは「きん ぎん すみいろ」。
ありがたいお経を、自身の手で写し取る「写経」はコピー機のない時代の必然でもあるけれど、
同時に「修行」であり、その一字一字には仏様が宿るとも考えられていたそうです。
※写真はイメージです
その大切な仏様を彩る「きん ぎん すみいろ」。
墨にも紙にも装飾にも、こだわって作られた書はそれ自体が美術品としての価値も備えるようになります。
文字が、言葉が、思想が、目で見える形の「美術」に昇華される。
テキストはデジタルでコピペな現代人からは、すでに発現しづらい考えなのかもしれない。。。
(個人的にはペンすら持たない日も多くなってきたような。。。)
こちらももちろん写真撮影は不可ですが、動画お借りしてきました。
幽玄の世界をどうぞ。
常設展示(仏教館)
先日「かんなみ仏の里美術館」に赴いた際に、ガイドさんから行ってみるといいよ、
と聞いていた上原美術館の流れは、こちらの整理された仏像群にあるのでした。
↓ かんなみ美術館行ってきましたの備忘 ↓
仏様には色々な種類がありますが、名前だけ聞いても何が何やら、という方に(私)
こちらの常設ではそれらを一同に、立体的に整理して鑑賞する事ができるよう展示されています。
入口には仁王像。
広々とした館内に、各グループ整然と並んでいます。
差し伸べる手は多ければ多い程いい、の千手観音様です。
薬師三尊と十二神将
万病に効くお薬入ってます、の薬壷を手にした薬師如来様と、脇侍の日光、月光菩薩様、それらを守る十二神将からなるグループ。
七福神と干支の守り神
「七福神」は仏教によるカテゴリ分けではなく、縁起のよさそうな仏様をコレクションしてみた、な民間信仰。(多分)
どの仏様もいい笑顔です。
その他にも菩薩様、五大明王など、役職(?)別の集められていたりと
なんか聞いた事あるな、な名前のカテゴリ分けがちょっとできたような気がしたりします。
菩薩様グループ
ちなみにものすごくざっくりと仏様の種類を解説(?)しますと。。。
如来:悟り開きました
菩薩:まだ修行中です
明王:如来の変身バージョン
天部:インドから日本へ帰化
ちなみに「観音様」も「お地蔵様」も菩薩ですね。
グループ展示ホールから雰囲気一転。コレクション展示スペースへ移動します。
こちらの菩薩立像は、13世紀頃の中国・宋からやってきたそうです。
エレガントにお饅頭運んでます。
こちらの二天像は平安期のもの。
平安期らしい力強さが魅力、もお顔立ちは某双子お笑いコンビに見えなくも、ない。
個人的に印象派~後期印象派の表現の中で好きなのが「水」、とりわけ「水面」の様子なのですが、今回「船と絵画」の展覧会では、キラキラからゆらゆらまで、様々な水面をまとめて見る事ができて楽しかったです。
また別の特別展示にもお邪魔してみたいと思います!
施設基本情報
住所:静岡県下田市宇土金341
最寄駅:伊豆急下田駅
駐車場:無料
開館時間:9:30~16:30
入館料:大人1,000円/学生500円/高校生以下無料